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「ありがとう」は魔法の言葉 [仏教]

 英語で "Thank you" と言うのに比べると、日本人が日本語で「ありがとう」とは、それほど気易く言えないように思われる。もちろん、お店やレストランなど、商売がからむ場合には、たいてい店員はお客さんに「ありがとうございます」と言うし、生徒は先生に、授業の終わりに「ありがとうございます」と言ったりもする。これらは、気持ちがこもっているとはいえ、社会的な規約に基づく行為のように思われる。

 しかし、日常の生活の中で、特に身近にいる人に対して「ありがとう」と改めてお礼を言うことは、あまり多くはないのではないだろうか。考えてみたら、思いのほか少ないことに驚くに違いない。

 どうして、身近な人に「ありがとう」と言わないのだろうか。言おうとして言えないというわけではなく、近しい人には言わなくても気持ちは通じているという暗黙の了解があるのではないだろうか。それはそれで日本人的な心性だと言えないこともない。

 それは、たとえば、夫婦恋人の間で「愛している」という言葉を言わなくても、何となく気持ちは通じていると思っているのと似ている。そう言えば、欧米人は「I love you」をきちんとパートナーに言葉に出して表現する。心は言葉に出さないときちんと相手に伝わらない、あるいは伝えないことが失礼だと考えているからかもしれない。

 日本人の関係は、何となく気持ちが通じるということで成り立っていることが多い。何も摩擦がなく、本当に言葉がなくても通じ合える関係であることもあるだろう。目を見つめるだけで伝わるものもある。言葉で伝えられないことが、手を握ったり、黙って荷物を持ったり、そういう行為の中で伝わるものもある。

 だが、世の中、そんなに以心伝心で気持ちが伝わる関係ばかりではない。相手の気持ちが今ひとつよく分からないという不安や疑惑を抱えながら関係している人たちもいるだろう。普段は仲が良くても、大げんかをして口をきく気にもならないこともあるだろう。あまりにも日常過ぎて、相手が空気のようにしか感じられない場合もあるだろう。

 そういうときに、意識的に「ありがとう」と声に出して言ってみることで、ややもすると背を向けそうになっていた関係が、再びお互いに顔を向け、心を通わせることができるようになるのである。それまでになかった新しい光が、その関係に差し始める。何か違ったものになっていると感じられるに違いない。

 何かをしてもらったら、意識的に「ありがとう」と言ってみよう。すぐにその言葉の力を実感することができる。何気なくしたことでも、それに対して「ありがとう」と言われたら、気持ちの悪い人はいない。「ありがとう」と言われて怒り出す人は決していない。

 意識的に言わなければならないとしても、それはそれほど難しいことではない。単に五文字発音するだけである。誰でも知っている言葉である。いつそれを言えばいいかも、誰でも分かることである。しかし、その効果は非常に大きい。これは「愛語」の典型である。こんなに簡単な言葉なのに、それが引き起こす心の変化は絶大である。そういう意味で魔法の言葉だと、僕は思う。

 簡単なことである。今日から、この行を実践してみてはどうだろうか。一歩、菩薩への道を進むことができるに違いない。
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